【作品紹介】花と散る
《作品について》
『魔性の女』『狂っていく男』『相互不理解』『バッドエンド』
その笑顔は、僕を、俺を、私を、狂わせていく。
ある日現れた、一人の女性に人生を狂わされていく男の物語。『魔性』の正体とは、何故人間は魔性に惹かれてしまうのか。
現代日本を舞台にした、2本の話をまとめた短編集。
《収録作品あらすじ》
〈無垢の辜〉
閉店間際の何でも屋の男・戸津の前に現れた女性・三明。特殊清掃業者を名乗る彼女は、ある孤独死した老人の身元の特定を依頼する。
戸津は共に行動を続けているうちに、愛嬌ある三明に惹かれていく。時間と共に想いは膨れ上がるも、胸の内に一つの疑念が浮かび上がる。
たった一つの淀みは、いつしか戸津に疑心暗鬼をもたらしていく。
〈あなたは暗闇の中〉
とある橋の上へ自殺に訪れたサラリーマン・天白は、突然現れた女性に口づけされる。驚きのあまり川の中へ落ちてしまったが、幸い一命を取り留める。
退院後仕事を辞めて家に戻ってきた彼の前に現れたのは、あの時口づけをしてきた女性・誘夜だった。画家を生業とする彼女は、天白の「危うさ」に惹かれたといい、絵のモデルになることを提案する。
そして、二人の短く歪な関係が始まった。